職場でのセクシャルハラスメントは、残念ながら依然として不安材料であり、この事は直近ではフィリップ・グリーン氏絡みのスキャンダルによって証拠づけられた。この事例は、これまで秘密保持契約によって従業員がセクシャルハラスメントの申し立てや同等の違法行為を報告できないようにされていたのではないかという疑念が生じ、問題を際立てさせた。セクシャルハラスメント疑惑における秘密保持契約の行使は、#MeToo運動が高まることによって特に厳しく批判された。

フィリップ・グリーン氏絡みのスキャンダルは、他の似たようなケースの中でも特異なケースとして挙げられる。なぜなら、英紙The Daily Telegraphはこの疑惑について、新聞紙上で公開しようと試みたからである。

この事件の背景は、従業員5人がフィリップ・グリーン氏を告発し、そのうちの何人かが雇用裁判所に訴えを提起したことにある。全てのケースは、従業員に対し多額の和解金を払うことで解決した。その和解契約は、告発内容と和解金額について明かさないという秘密保持の文面が盛り込まれていた。しかしながら、秘密保持契約の中に記載されたいかなる条項も、当該従業員が刑事訴訟を起こすことや合法的な公表を禁ずることは出来なかった。

The Daily Telegraphの記者は、フィリップ・グリーン氏と彼の会社に接触し、新聞社は当該告発についてその内容を公表することを告げた。フィリップ・グリーン氏は、即座に秘密保持条項に則ってその秘密情報を公表しないようにする為の差し止め請求の申立を行った。最初、裁判所は、公判が終わるまで一時的な差止命令を認めなかった。この結果に対し彼は控訴し、上訴裁判所はこの不服申し立てを認め、公表を禁ずる差止命令を認めた。

この判例に対する上訴裁判所の審査は、主にプライバシーと秘密保持と発言の自由に関連するバランスを取ることに焦点が当てられた。裁判所はその理由として、記事の掲載は直ちにフィリップ・グリーン氏に不可逆的な被害を与え兼ねず、その情報自体が秘密保持違反によって得られたものである可能性が高いとした。
その新聞記事は秘密保持に違反してまでも公共性があることを正当化出来そうにないとして、最終的に秘密保持契約を保持することが公共の利益に合致することを強調したのであった。

上訴裁判所による判決は、最終判決を下すために正式な裁判をする事でフォローアップすることになっていた。しかしながら、わずかその2日後にハイン卿が国会議員特権を行使し、被告が誰であったかを公表してしまった。この行動は、ハイン卿が裁判所より彼の方が判断が正しいことを示すために、ハイン卿が国会議員特権を乱用したとのことで批判が高まった。

上訴裁判所判決は暫定的なものに過ぎず、セクシャルハラスメントに関する裁判ではいかなる秘密保持契約も強制力を持つと仮定するべきではない点は留意すべきである。

裁判所が指摘した重要なポイントは、秘密保持契約は、自由な意思の下で、独立の法的アドバイスを受けて締結されたものでなければならない。一般的に、秘密保持契約があったとしてもセクシャルハラスメントの被害者が当局に報告することを妨げることはできない。

このケースの場合は、従業員がセクシャルハラスメントを公表することを妨げられたということでなく(2名の従業員も事件が公にならないを望んでいた)、新聞報道が秘密保持違反の可能性の中でセクシャルハラスメントの主張を公にしたという点に留意することが重要である。

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