世界的に知名度の高い企業の多くは、AI(人工知能)をビジネスの中心的な構成要素として認識し始めている。2014年、GoogleはAI事業参入企業のDeepMindを4億ドルで買収した。
Amazonは、<推奨エンジン>から倉庫を管理するロボットまで大部分の事業に渡ってAIを組み込んでいる。FacebookのAIラーニング責任者であるJoaquin Candelaは、「本人は気付かないかもしれないが、Facebook、Instagram、またはMessengerを使用する度に、これらの動作はAIの影響下にある。」と言及した。2013年から2016年の間にAIへの投資は3倍になり、この領域への推定支出額は200億~290億ポンドだった。しかし、調査によるとAIはまだ黎明期にあり、約20%の中~大企業のみが、ビジネスの中核部分で1つ以上のAIテクノロジーを使用しているに過ぎない。それ故、この分野の急成長が予測されている。

収益性、効率性、およびセキュリティの向上はすべて、AIを適切に導入している企業にとって潜在的な利点である。機械学習ソフトウェアは、毎年世界的に何兆ドルものコストがかかるサイバー攻撃を自動的に検出して防御するために導入されている。Blackstoneのようなプライベートエクイティグループは、リスク分析や見込み投資の収益予測のための評価目的でAIを使用し始めている。
AIシステムは、人事の観点からも役に立つことが期待できる。つまり、雇用主はコミュニケーション分析機能を使用し、従業員の集中度合いをモニタリングする事と個々の労働者の個性や習得スタイルをマッピングしたキャリアプランを個人に合わせ構築することが出来る。
これらの実現により、利益率の向上だけでなく従業員の勤務経験を改善することにより、才能を持つ従業員の定着率の向上に繋がるとする。

このような事実があるにもかかわらず、労働者側はAI投資にかなりの懸念を示し続けてきている。2,000人を超える従業員を対象とした調査では、その3分の1以上(34%)が、AI導入の際に従業員の抵抗を切り抜けることが大きな問題の1つになると述べた。この反対の理由として挙げられているのは、倫理的な問題とAIが犯罪的使用の影響を受けやすいことだが、最も懸念されているのは失業の可能性である。
AIの急速な進歩は、これまで「人の手」を必要とすると考えられていた業務を脅かし始めている。 外食をするというような経験においては、間もなく人と人とのやり取りがなくなる可能性がある。つまり、 自動運転の車・ロボット工学・支払いシステム・視覚及び言語理解により、AIシステムは運転手無しの車・ホスト・ウェイター・レジ係・食器洗い、更にはシェフの業務をむしろ安全に効率よくこなすことが出来るのである。

これらの歓迎されない予測にも関わらず、雇用経済への脅威は見当違いであると主張する人もいる。産業革命の時のように、「昔ながらの」仕事の喪失は、特にAI分野自体ではなく新規産業の中で出てくる仕事の増加によって補われるであろう。この歴史的な比較について、ブロックチェーンプラットフォームKoreConXのCTOであるKiran Garimella氏が次のように述べている。
「機械化により仕事が失われた時、“創造する” 仕事が生まれた。では “創造する” 仕事が不要になったりそれ自体が非効率と看做された場合はどうなるだろうか。」
確かに、AI技術が「昔ながらの」仕事の喪失に取って代わるのと同じくらい多くの仕事を生み出すことはありそうもないようである。

人事部は、AIが職場にもたらしうるポジティブな改善点に留意する必要がある。予算の関係もあるが、管理者はAIの導入を検討し提案するべきであろう。それによって、職場での効率化、優れた能力保持者のスマートな採用、それが適当と認められた部分ではいくつかの仕事を集約させること<合理化>が出来るかも知れない。
AIは、候補者選考における無意識な先入観を排除することに使用できるため、優秀な人材を採用しようとしている企業、および機会均等を優先する企業にとって不可欠になるであろう。
従業員の個人情報を収集する際には適切なポリシーと保護措置が講じられている必要があり、また解雇の際は裁判が起きるリスクを減らすよう細心の注意を払わなければならない。職場でのAI導入は、効率・正確さだけでなく、慎重な検討が必要となる新たな複雑性も加わることになるため、人事の業務内容を変えるであろう。

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