英国全土での「菜食主義」の拡大にも関わらず、Norwichの雇用審判所は、菜食主義は「信念」とは見なされない為、菜食主義の従業員は差別を主張できないと判断した。


事実

Conisbee氏は菜食主義者で、Suffolkのホテルでウェイターとして5ヶ月間働いた後に退職した。 彼はそこで働いている間、同僚からゼラチン(肉製品)を含むデザートだと知らされず与えられたことにより、信仰または信念の理由で差別されたと主張した。

Conisbee氏は動物を食べることは道徳に反するという強い信念を持っていたので、彼の菜食主義は他の宗教的または哲学的信念と同等の保護に値すると主張した。彼はこの信念が自分にとってどれほど重要で、自分の生き方にとって不可欠であるかを強調した。


「哲学的信念」

法的要件を満たす信念とは以下の通りである。

1. 純粋であること
2. 見解や視点ではなく、信念であること
3. 人間の生活と行動の重要な側面であること
4. 一定レベルの説得力、真剣さ、一貫性、重要性を兼ね備え、且つ
5. 宗教的信仰と同等の位置付けまたは説得力を有する

そのホテル企業は、Conisbee氏の菜食主義が偽りのないものであることを受け入れたが、これは単なる見解に過ぎないと述べた。 彼らは、菜食主義は人間の生活や行動に関するものではなく、動物の生命を守る為のものだと主張した。 また、生涯を通じて個人の気まぐれで変化し得る信念であり、保護されるべき特性を持っているかどうかを雇用主が確実に知るために必要な一貫性に欠けている。


ルール付け

雇用審判所は、その信念には価値があり偽りのないものであると判断したが、菜食主義は保護し得る哲学と同等であるという主張は受け入れられないとした。菜食主義が人間の生活における「重要かつ不動なもの」という側面と関係なく、菜食主義者である理由は各々異なり、必要とされるレベルの真剣さ、一貫性、重要性に達していないためである。


理由

裁判官は菜食主義と完全菜食主義(動物性食品を全く摂取または使用しない場合)とを区別したが、これは完全菜食主義が全ての動物性食品を制限しているためである。そして、裁判官は、完全菜食主義者の背後には動物を保護する意図があるという点でより一貫していることに対し、菜食主義者のライフスタイルは健康、個人の嗜好、経済的理由や環境のためであり、また動物性食品の消費を最小限にすることであると推測した。 菜食主義の潜在的な一過性の性質から、裁判官は、従業員が確固たる信念を持っているかどうかを判断するのは雇用主に負担がかかりすぎると結論付けた。


論評

英国人の7%が「菜食主義」であり、今回の裁定にも関わらずこの問題は再発する可能性が高い。 実際、雇用審判所は「倫理的菜食主義」が差別からの保護に値するかどうかに関する事例を聞くことになっている。 日本の人口の4.7%が菜食主義者、2.7%が完全菜食主義者であるため、個人の食の選択を尊重することを、雇用主はますます意識する必要があるものと思われる。


詳細については、中田陽子(yoko.nakada@lewissilkin.com)または中田浩一郎(koichiro.nakada@lewissilkin.com)にお問い合わせ下さい。
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