フィンランドは昨今、2021年より父親の育児休暇を母親と同等に取得できる方針を発表した。同国は、両親それぞれに7ヶ月の育児休暇期間を与える世界初の国である。アイノ・カイサ・ペコネン社会問題・保健相は、本改革の目的は「男女平等を推進し、出生率の低下を回復させる」ことであると述べた。

フィンランドは、父親の権利改善を行う数ある欧州諸国の一つである。例えばオーストリア・イタリア・オランダは、男性の有給育児休暇を最近増やした、または近日中に増やす予定である。また、欧州連合(EU)では、ワークライフバランス指令に基づき父親への有給育児休暇(1日目から)及び2ヶ月間の両親への有給育児休暇の権利が導入されており、EU加盟国は2022年8月2日までにこれを実施しなければならない。

英国がEUのワークライフバランス指令を実施する可能性は低い。EU離脱後、政府が移行期間を延長しない限り、同指令を実施する必要はない。しかし、英国政府は、父親が育児休暇を取得しやすくし、介護休暇に新たな権利をもたらすと約束した。また、他の方法で、英国の法律を新たなEUの権利と一致させることも選択しうる。

フィンランドの現行制度では、父親には2ヶ月間しか育児休暇が与えられておらず、父親の4人に1人しか取得していない。新制度の元では、7ヶ月の育児休暇の半分しか他方の親に譲ることができないため、父親が3ヶ月以上の育児休暇を取得しなければ残りの期間は消失する点は重要である。片親には、両親に与えられる期間、すなわち14ヶ月間の育児休暇を取得する権利がある。

フィンランドの前政府は、コストがかかり過ぎるとして育休制度の変更を拒否した。現政府は、同変更に1億ユーロの追加経費を見積もっているが、この1億ユーロが長期的な投資に値することを示唆する2つの理由がある。

1つ目。フィンランドは、出生率が低下している欧州諸国の1つであり、2010年から2018年には国内で約4分の1も出生率が低下した。雇用率の高い国における女性の出産数が高いことを示す証拠があり、ペコネン社会問題・保健相は、スェーデンやアイスランドなど他国では父親により多くの休暇を与えた後に出生率が上昇していると述べた。

2つ目。育児休暇の均等な配分は、長期的かつ経済的な男女平等の前兆とみなされている。父親の育児休暇短縮政策と相俟った自由な出産政策は、女性の責任は子供の世話をすることで父親の責任は働くことだという印象を与える。実際にフィンランド政府が望むところでもあるが、この固定観念をなくさなければ一貫した政策はうまくいかないと示唆する証拠がある。男女間の賃金格差の縮小は、性別に関わらず労働者が最適な職にとどまるため、経済に当然の利益をもたらす。スウェーデンでは、父親が育児休暇を取れば取るほど女性が就労できるという研究結果が明らかになっている。同国で行われた調査では、父親が育児休暇を1ヶ月長く取得すれば、母親の収入が約7%増加している。

また、新生児や親子にとっても社会的な恩恵がある。ペコネン社会問題・保健相は、父親の育児休暇導入後のプレスリリースで、家庭内の仕事を公平に分担することで離婚のリスクが減少することが示された旨を述べた。父親が幼少期に子供と絆を結ぶことで、子供の精神的安定、知性、自尊心に良い影響を与えることを示唆する証拠もある。

社会にとって明らかに利益があり、両親のモチベーションが高まることを考えれば、Telegraph Group、Aviva、Diageoのようないくつかのグローバル企業が法律に関係なく父母に平等な育児休暇制度を提供していることは不思議ではない。しかしながら、父親音育児休暇が法的な権利でない場合、文化的規範が追いつくには長期間を要し、育児休暇を取得する父親は同僚や上級管理職から見下されるかもしれない。他方、Dove Men+Careが7カ国で調査した父親の85%が、もっと自分の子供を世話したいと表明したことからは、態度変容が伺い知れる。これは、英国のAvivaの従業員が父親の育児休暇を多く取得していることからも明らかであり、彼らの平均取得期間は21週間である。

英国の前政府は昨年、家族関連の休暇制度を改革する可能性について協議したが、ボリス・ジョンソン政権が共有育児休暇の制度を変更するかは不明なままである。変更されるか否かに関わらず、将来的には、英国政府は父親の有給休暇の権利を更に改善し、雇用主は自主的に権利改善し続けるであろう。

詳細については、中田陽子(yoko.nakada@lewissilkin.com)にお問い合わせ下さい。
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