懲戒のための調査は、従業員に対して、適切で妥当な方法と手続きで行われなければならない。それは、一定の枠内で想定できるしっかりとした客観的な判断に基づいて行われなければならない。雇用者の調査は、明らかで十分な申し立ての結果に基づくべきであり、問題の従業員には、これに十分に反論できる機会を与えるべきである。

最近のケースであるが、ある大学(C大学)に雇用されていた上級講師(Mさん)が、Mさんの同僚であったJさんが、C大学を退職して、別な大学(G大学)の新しいポストに就いた。この転職に関連して、G大学は、C大学に連絡をとり、Jさんに対するレフェレンスと彼のパフォーマンスの不一致があることを指摘した。このレフェレンスは、C大学の名前がプリントされた便箋に書かれており、Mさんによって書かれたもので、署名入りであった。それには多くの不正確な情報が書かれておりJさんの資格について誇張した記載があった。

この問題に関して、C大学のDさんは、C大学がどのような手続きと経緯でMさんにレフェレンスを依頼したのかなどこのレフェレンスの入手経緯に関する調査を行い、Mさんのコンピューターを検証することで、この問題のレフェレンスにいくつかの修正が加えられたと推察される事実が明らかになった。そこで、DさんはMさんと予備会談を持った後、Mさんの上司とMさんにインタビューを行った。

これらの調査の結果、Dさんは、Mさんに、レフェレンスの作成に関して不適切な行為があったことを発見した。従って、Mさんは、C大学に対して、Jさんと共謀して、事実に相違して、誤解を与えるレフェレンスを発行したことに対して懲戒手続に入ることを勧告した。C大学は、人事部と検討の結果、Mさんに対して懲戒手続きを取ることを通告した。

Mさんの病気休暇期間に、懲戒のための聴聞が彼女が欠席のままで行われたが、Mさんへの懲戒の申し立ては却下された。ところが、今度は、Mさんが、C大学に対してC大学の懲戒手続きに関連する違反、または怠慢に(Duty of care)よって受けた精神的苦痛を受けたとして、審理請求を行った。この審理の中で、C大学がこの件について十分な聞き取りと調査をすることを怠り、注意義務違反をしたとしたことが明らかになった。しかしながら、C大学は、これにに対して再審理請求を行った。最終的に、雇用上訴審判所は、C大学がMさんに対して懲戒手続き行ったことは注意義務違反をしていないと判断した。

これらのケースから学ぶべき教訓は、雇用者が、ある従業員に対して懲戒手続きを開始する場合には、それを開始する前に、雇用者は、ある従業員に対して申し立てられた疑惑が、根拠があり、十分に合理的な根拠があることを確信することが重要であるということである。調査期間の中で、ある個人に対する信頼性の問題は、十分に注意されなければならない。このケースにおいて、裁判官が、雇用者の取った懲戒手続きの行為が慣習的な注意義務違反になるかどうかに関して、バランスの取れた雇用法の解釈と判断をしたことは大変興味深いところである。

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