BBCの人気番組「トップギア」の前のプレゼンターであったジェルミークラークソンと彼の雇用者であったBBCは、プロデューサーからの職場での人種差別に基づく損害賠償請求に対して、10万ポンドを越える損害賠償を支払う事で和解した。

BBCのプロデューサーがジェルミークラークソンから暴言と暴力の対象になった3月1日のニュースは記憶に新しい。このトップギアのプレゼンターはこの結果、この仕事の停職処分を受け、その後このBBCの人気番組の雇用契約の打ち切りを通告された。このことを受けてこのプロデューサーはジェルミークラークソンとBBCに対して人種差別の申し立てを提起した。雇用審判所での最初の聴聞の後、この事件はジェルミークラークソンがこのプロデューサーにたいして公の場で謝ること、および和解金としてBBCと共に10万ポンドを越える損害賠償を支払うということで和解した。

このケースでこのプロデューサーは、「人種差別と身体的苦痛」を受けたことを理由ににジェルミークラークソンとBBCの両方を訴えた。BBCの内部調委員会は調査の結果を次のように公にした。「クラークソンは、このプロデューサーを暴力的な行為としつこいまで継続的でしかも度を越えたといわざるを得ない暴言で攻撃した。具体的には30秒間も続く暴力行為と関係する暴言であった。」このプロデューサーは現在もBBCの被雇用者と扱われているが、この事件のあとは職場に復帰をしていない。


BBCはこの事件で責任を負うべきであっただろうか?

このケースは、職場での従業員の行動の責任に関しての重要な教訓として注意を喚起している。平等法2010(“EqA”)によれば、職域において従業員によってなされたどのようなことも雇用者によってなされたと看做されるべきである【Section109(1)】。また、事件が雇用者又は主事業主の認識または許可があるかどうかに関わらないとしている【SECTION109(3)】。従って、雇用者は”継続した雇用関係の中にある”従業員に拠って人種差別または嫌がらせが発生したときは代位責任を負うことになる。多くの場合は嫌がらせは職場で起きるが、これは”継続した雇用関係の中にある”という条件に含まれるものである。しかしながら以下の事柄が考慮される。すなわち(1)事件がが社内で起きたどうか、(2)被害者、または差別の加害者が就業中であったかどうか、(3)その集会が従業員、パートナー、顧客、又は無関係の第3者に拠って構成されていたかどうか、そして(4)その事件が仕事の終了直後に起きたかどうか。


雇用者が責任を免れるために、雇用者は従業員が差別、嫌がらせなどを行うことを防止するために考えられる必要なステップをとったということを証明しなければならない(EqA Section 109(4))。そして、これらの必要なステップは事件が起きる前に実行されていなければならない。今回のケースでBBCは、この部分において反論できる正当な根拠をもっていなかった。それはトップギアーの番組内でのクラークソンによる人種に関連する言葉使いに多くの不利な報告があったからである。


人種差別と身体的苦痛

人種差別に基づく損害賠償請求の金額に上限はない。それ故、そのことは雇用者にとっては重大なリスクと問題、大きな心配の種となる。このような損害賠償請求の補償金額は、申し立て人がどの程度被害を受けたかということに基づいて算定される。それは差別による金銭的な損害だけではなく、精神的、身体的苦痛からくる損害、例えば差別に由来する身体的怪我だけではなく、精神的な苦痛に基づく損害賠償を含む。これは£6,000-30,000の支払いとなることがある。これは差別事件があった日から特定の日までの損害だけではなく、将来的な金銭的損失に加算され裁定される。サラリーの減収だけでなく、他の金銭的な損失や自己負担を余儀なくされた費用も含まれる。

雇用者は、従業員が差別的な行動、又は嫌がらせをしないように適切な予防的な措置を取らないと、彼らも共同責任を取らざるを得なくなることを承知しておくべきである。それゆえに、雇用主は適切なスタップハンドブックや人種差別を禁止するために必要なポリシーを作成することが重要である。これにより、職場で人種差別の問題意識の向上を図り、人事のトレーニングを行うことが重要である。


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