
Nov 2016 – 競争の制限は合理的な範囲で
最近のケースで、受賞歴もあるへアドレッサーのHayley Gibson-Forbesが独立して2つ目の店舗を開店早々に、以前勤めていたフランチャイズ経営のRush Hairによって閉店に追い込まれたという事件がある。
このケースでは、驚いたことにRush Hair Limitedが勝訴した。これは両者間で取り決められた「2年間半径2マイル内での非競争契約」が有効であると見做されて執行されたためである。
ベストヘアドレッサー賞のファイナリストに3回もなったHayleyはフランチャイズ契約を解消し、自分の最初の店舗をサリー州に開いた。この最初の店舗は何も問題がなかったのだが2番目の店舗を開けようとした段階で問題が生じた。HayleyはRush Hairを退職するときに「2年間2マイル非競争制限」の制限約款付の契約を結びそれと引き換えに5万ポンドの支払いを受けていた。
この契約はHayleyがRush Hairの特定のスタッフを勧誘したり、雇用募集したり、引き抜きいたりすることをも制限するものであった。
それにも関わらず、Hayley がダイレクターを務めていた SJ Forbes社は2番目のサロンをRushのある店から同じ通り上の300メートルしか離れていないところに開店した。Rush Hair は、これは契約違反であるとして直ちに高等法院に訴えた。
Rush Hair Limitedは、(1) Hayley Gibson-Forbes個人; (2) S J Forbes Limited [2015]社の2つの当事者に訴えを提起するという形をとったこのケースに対し高等法院は、Hayley Gibson-Forbes個人は、S J Forbes Limitedという会社の蓑を着ることによって個人として課されている制限を回避することは出来ないという判決を下した。もしこのようなことが許されるとしたら誰もが契約で制限に合意し、その後、会社を設立することにより個人としては何も悪いことをしていないと言い張る危険性を孕んでいると考えたからである。
非競争契約は雇用されていた会社と競合することを禁止するものであり、被雇用者が同じ地域で同業に就き、元の雇用者に悪影響を及ぼす可能性がある場合に重要となる。
勧誘禁止契約もまた重要であり、特に被雇用者が顧客と強いビジネス関係を築いている場合、その被雇用者が関係を築いていた顧客と連絡を取ることを防止する場合の要となる。
一見、ヘアードレッサーに対する「2年間半径2マイルの非競争契約」は制限が厳しすぎ、この契約の履行は非現実的であるように思われる。
制限契約は地域に関してはそれほど強い制限をかけず、職種と期間に関しては限定的な制限をかける必要があるというのが一般的な認識である。
しかしながら このケースは、ビジネス、特に重要なスタッフや顧客や取引先を合法的に保護するためにはこのような契約がとても重要であることを教訓としている。
このケースは、競争制限約款を作成する際に、どれくらいの期間が法的に許容されるのかの点を判示しているたので、弁護士にはもちろんのこと企業にとっても重要なケースである。
この件でご質問などがございまたら弁護士中田浩一郎 koichiro.nakada@3hrcs.com 又は中田陽子 yoko.nakada@3hrcs.com までお気軽にご連絡をおお願い致します。