Jul 2017 – 会社の評判をどうやって守るか:雇用者がすべき5つの対応

今日、多くの人がソーシャルメデアを通じてコミュニケーションをとっている。この状況下で、会社の評判を下げるリスクを回避する5つの方法をご紹介します。

1. 厳格なソーシャルメデア・ポリシーの実施
雇用者は、従業員のソーシャルメデア利用に関して明確な規則を設定するべきである。
例えば、ポリシーがあることで従業員がTwitterやFacebookに載せるコメントは個人的なものとは限らないことを気付かせることができる。
もし違反したときには懲戒(解雇を含む)につながる可能性があることをこのポリシーの中には明記すべきであろう。

2.ソーシャルメデアにおける不適切なコメントは迅速に対応
従業員がソーシャルメデアに勤務先のことについて不適切なコメントを投稿したときは、雇用者は証拠を集め、従業員に該当の投稿をすぐに削除するよう指示するべきである。雇用者は、このような行動に対して懲戒処分等の対応が必要か検討するかもしれない。
もし退職した従業員が同様なコメントを掲載した時にも、その個人に削除要請をする必要がありえる。その上で、雇用者はそのサイト運営会社に該当するコメントの削除を要求するとともに法的な手段の検討も必要になり得る。

3.適切な人材採用方法の実践を現場のマネジャーに徹底させる
現場のマネジャーが、採用プロセスをマナーをもって望むことが大切である。特に、採用プロセスの中で不採用の結果を知らせるときには、不採用となった応募者はソーシャルメデアに何らかのコメントを投稿するかもしれないことを念頭に置くべきである。
最近の人材採用の不幸なケースは、雇用法を明らかに侵害したということではなかったにも関わらず、広範囲のメデアの興味を誘った。ひとつのケースでは、応募者が彼女がなぜ採用されなかったかの雇用者の皮肉な説明(泣き笑いの絵文字つき)のテキストのスクリーンショットをTweetした。ほかのケースでは、応募者を批判的な内容で表現していたメールを間違ってその応募者に送ったことが問題視された。

4.職場外での社会人としての行動規範に関する注意喚起
従業員の職場外での非行は、会社の社会的なイメージダウンにつながる。現場のマネジャーは、職場または公共でのイベントに先立って、従業員に気を付けて行動するよう注意喚起すると良いだろう。もし、ある従業員が職場外で犯罪を犯した場合、雇用者は、この従業員の継続雇用が会社の評判を著しく落とすと判断したときのみ、解雇を検討すべきであろう。職場外における人との交際が、会社の評判に関わる要因になることもある。例としては、ある従業員が刑事犯罪を犯したとされている人との関係をを維持している場合が考えられる。

5.男女賃金格差報告の準備について
男女賃金格差の数値公表締切が2018年4月4日に迫っている。
もしこの公表が遅れるようなことがあるとしたら、会社の評判を落とすリスクになりかねない。
雇用者としてはこのリスクを回避するために、男女の賃金格差報告をすぐに準備するべきであろう。その際には、詳細な説明を作成し、数値を分かりやすく理解できるようにすべきである。きちんと説明することで、お客様、競合会社 そして将来の就職先として見ている求職者の視点からみた会社の評判を落とすリスクを最小化できる。

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