Jul 2019 – 大学に対し差別請求で250万ポンドの支払い命令

雇用審判所は、Southampton大学に対し差別に基づく損害賠償請求の一環として、経済学の第一人者兼教授への250万ポンドの支払判決を下した。「量的緩和」という用語を造り出し2004年から2018年まで当大学の教授だったRichard Werner氏は、大学内のある手続き上の致命的な不備を指摘し、その変更を提案した後2010年から2018年の間、彼に対しての「嫌がらせといじめ」が発生し、その犠牲者になったと主張した。例えば年次休暇申請が却下されたり、昇進の機会が与えられなかったり、また、他の教授には許可された執筆作業の為のサバティカル休暇も却下されたというような一連の事件ががあったと述べている。

その後Werner氏は2018年7月に辞任。その後、彼の14年間の勤務の間に累積したメールへのアクセスが、退任後に大学側が行なった数回の調査後には出来なくなっていたと述べた。
Werner氏はまた、名誉教授の称号を与えられるべきであるとも主張した。

これらの事件の結果として、Werner氏は彼がキリスト教であることとドイツ国籍を持つこと両方の為に差別されたと主張した。不当解雇、人種差別、宗教上の差別、彼に対する給与支払い不履行についての彼の主張がすべて証明された。Emerton裁判官は、非常に高額な支払命令が下されたのは大学側がこの審判に欠席しこのクレームに対して弁護しなかったからであると説明をした。もし大学側がキャンパスからたった1マイルの所にある審判所に行き、90分程度の口頭尋問に出席していたら、支払い額は大幅に減額されていたはずであり、これは大きな失敗だったとみられる。

Southampton大学は、Werner氏による請求のすべてを否定し、彼の主張に異議を唱えなかった失策の理由についての内部調査を実施しており、判決への異議申し立ての法的手続を開始しているとのことである。

この事例は、例え根拠のない場合であっても、元従業員からの請求を真剣に受け止めることの重要性を再認識させる。 こういった事例への取り組み方に関する議論で重要部な点は、名声や評判に対する管理を怠らないということである。 当該教授が大学で14年間勤務していたことを考えると、裁判でこのような対応することは広報の観点からは確実に誤った対応である。

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