Dec 2015 – 慢性疾患による病気休暇

1年間で約1ヵ月かそれ以上の病気休暇を取得する従業員は約96万人おり、おおよそその3分の1の人々は退職をしている。これは英国全体で見ると毎年数百万ポンドの損失となっている。

2011年発行の英国政府公式報告書を受けて、政府は‘Fit for Work’という従業員、雇用者、GPに対し職業上の健康アドバイス・サポートを提供する制度を開始した。この制度の目的は、健康上の問題を抱えた従業員に対し、4週間連続の病気休暇の後で、個人的な健康アセスメントやフォローアップ、無料電話かオンラインにて自宅で安静にすべきか仕事に戻るべきかの助言を与えるものである。また、アセスメントは、雇用者に対して従業員が仕事に復帰しやすいようにする為の一連の 推奨事項や仕事復帰計画を確認するものである。

2015年1月より、報告書に照らして政府は雇用者の病気治療、職業リハビリテーションにおける支出に対する免税制度も導入した。

雇用者は ‘Fit for Work’ 制度が現行の休暇管理業務に影響を及ぼすような変更点に注意を払う必要がある。雇用者の中には、従業員が職場復帰計画をした段階で、はじめて Fit for Work 制度に照会されていたということを知る場合もあるのである。

従業員の病気休暇における将来的な Fit for Work 制度への関与の可能性を考慮すれば、雇用者側は病気休暇の規定や制度を進める過程での協力体制に関して、失敗による影響にも焦点を当て、必要条件を課すべきかについて考慮する必要が出てくるであろう。

特に注意が必要な点は以下の通りである。

一般的に直属の上司が Fit for Work 制度に関する責任者となる。上司は職場復帰の推薦状が届いた場合対応出来るか。そのためのトレーニングは必要になるか。この件に対し、従業員とのやり取りの担当となる人を指名するべきか。

結果がどうであれ、推薦状が機能しない場合への理解。Fit for Work 制度への協力は完全に任意であるが、もし解雇を後に検討していたり、正当な調整不能が生じる場合には、法的な影響がある場合がある。

この変更に対応していく為の規定・手順についての更新・改定などの検討が必要である。

Fit for Work 制度が、どれだけ社内での既存の保健に関する取り組みに対し影響を及ぼすかを考慮すること。従業員はそういった取り組みへの認識はあるか。

解雇を検討した場合は、その後に起こりうる差別に対する賠償請求リスクを最小限に抑える為に、然るべき段階を踏んでいるかを見極める必要がある。

病気の為に休暇を取得している従業員の全員が職場復帰出来る訳ではないが、雇用者側は、従業員の復帰を待つことが難しいと判断する前に、上記のようなっ続きとステップを踏むことが望ましい。

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