Jan 2015 – 共有の育児休暇(SPL)について

子供の出産時から最初の一年間に有給の育児休暇が取得できる新しい制度ができた。2015年4月5日、またはそれ以降に子供が誕生する予定の従業員に適用される。この制度の趣旨は、子供の生まれた家族に、最初の1年間子供をどのように育てるかの裁量権と選択肢を広く提供することにある。
従業員は下記に述べる2014年法定共有育児休暇給付(一般)規則(draft SPP regulations)を参照してください。

●この新しい制度下で、従業員は現行の出産休暇と一般的な父親育児休暇の権利は変わらずにを持つが、この新しい制度の導入により、追加の父親育児休暇は廃止される。

●この制度により、両親は育児休暇を一定の期間に一緒に、または別々に、継続的にまたは断続的に取得することが出来るようになる。

●この制度に基づいて、その適格条件を満たしていることを条件として母親は50週までの出産休暇と37週までの法定産休手当て(SMP)を共有育児休暇手当(SPP)に転換することが出来るようになる。そして、それを彼らのパートナーと共有することができ、また共有育児休暇手当(SPP)は定額の法定産休手当(SMP)として支払われることなる。

●しかしながら、法律的な観点からはこれは雇用者にとって重要な課題があり共有の育児休暇(SPL)手当ての支払いに関連して差別のクレームを生むリスクを孕んでいる。もし雇用者が追加の出産手当を母親に支払い、一方で父親には法定内の共有育児休暇手当しか支払わないとなると、この時点で父親も母親の出産休暇と同時期に家庭に居ることが出来るので、その際には父親から男性への差別であるという理由に基づいて訴えが提起されるリスクを生むことになる。

●反対に、もし雇用者が追加の手当てを出産休暇と共有の育児休暇の両方に支払うとすると、母親は有給の出産手当と追加の法定の共有育児休暇手当の両方を受けることが出来るのだろうか?またはこの両者は一方のみというに限定されるのだろうか?という疑問が残る。

●雇用者は直ちに新しい制度導入に向けて準備をすることが肝要であり、少なくとも雇用者はこの複雑な制度の事務処理が出来るための体制を作る必要があるといえる。雇用者は社内でどの部署がこの制度管理をするか(通常は人事部かもしれないが)早急に決めることが必要である。なぜならばもう既に従業員から今回導入される新しい権利についての質問が出始めているからである。

●雇用者はまた共有育児休暇についてポリシー作成のレベルまで引き上げて検討することが必要である。ある雇用者は共有育児休暇の制度導入を家族に優しい会社として推奨する好機として捉えており、そしてこのことは政府の育児に対する姿勢として政策目標を援後することにもなる。

●現実的な面で見ると、実際にどのくらいの父親が共有育児休暇を取るかどうかは、共有の育児休暇期間中に追加の手当の支払いがあり、この制度が周知徹底され、そして父親が彼らの権利を使うことを推奨されるような社会的な背景が醸造されない限り、なかなか普及しないと考える。

この記事に関するご質問は、フィリップ・ロス法律事務所の弁護士の中田浩一郎、(Koichiro.nakada@philipross.com)、または中田陽子(yoko.nakada@philipross.com)にお気軽にご連絡ください。