Oct 2014 – 高額な損害賠償を導く性差別と人種差別のケース

7月号のブリテンの記事の中で「ロンドン市警が性差別と人種差別の証拠を隠蔽?」についてリポートしたが、今回は、中央雇用審判所が、このケースに関してロンドン市警に対して性差別と人種差別、及びこれらの差別行為に基づいて精神的苦痛を受けたハワード警察官の被害に対して£37,000の賠償を支払うことを命じたことを報告したい。

事件の概要
35歳の黒人の女性武装警察官であったハワード警察官は、市警に対して損害賠償の申し立てをした。その理由は2012年の1月から10月までほぼ1年に渡り職場でのけ者扱いされたという事由によるものである。その背景は、職場がほとんど男性でしかも白人しかいない外交官保護グループの職場に配置されていたことで非常に目立つ存在であったからだという。

この7月に中央雇用審判所は、市警が性差別と人種差別をしただけでなく職場での公正
手続きをとることを怠った事実を認めた。そして、審判官は、市警がハワード警察官の事件を歪曲する狙いと批判を避けるため、そして彼女を悪者に見せるためにハワード警察官と彼女の夫との間の家庭内紛争を原因としてハワード警察官が逮捕された情報をメディアに漏らした事実を知ることになった。

これらの事柄は市警がハワード警察官が暴力、攻撃的であるとか、住居にダメージを与えるとか、公正な裁判を妨害、目撃者に対しての圧力、不適切な子供の写真を所有していたなどの告発を含むものであったが、これらについては今回の判決が出された後、不問に付されることが確認された。

人権と平等擁護委員会は市警内の職場の公正についての内部手続きについ調査を始めたところである。

9月2日に出された審判の中で、市警に命じた賠償金額のレベルについて説明をしている。
そして雇用審判所はこのケースに対して受けた陰湿なキャンペーンの反動として市警の野蛮な習慣を痛烈に批判している。

この判決は雇用者が職場での性差別と人種差別を許容することへの厳しい処置を示しておりそしてこのようなケースが雇用者の目に留まったときは適切で機微な対応が必要であることを示している。

雇用者は、苦情申し立てに対する社内手続きを見直して、それらが公正でであるかどうかを再検証する必要に迫られている。