Jan 2026 – 2026年に雇用法制はどう変わるのか?

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: イギリスの人事部_logo-powered-by-1.png

昨年、英国の雇用法制に大きな変更が相次いだと感じているのであれば、覚悟が必要である。2026年は、まさにジェットコースターのような一年となる見込みだ。

雇用権利法(以下「本法」という)は、2025年にぎりぎりで国王の裁可を得て成立し、その改革案のいくつかが2026年に施行される予定である。例年通り4月の変更点に注意が必要で、さらに新たな主要法案である平等法(人種・障害)が成立する見込みである。

以下の施行時期は、政府が公表した実施ロードマップに基づくものであり、すでに施行日が確定しているものを除くが、今後変更される可能性がある点には留意が必要である。

雇用権利法 ― 2026年4月施行分

労働組合・団体協議

ストライキ発生時に、政府が重要サービスにおける最低サービス水準を設定する権限を定めた法律は、昨年12月の本法成立と同時に廃止された。
その他の労働組合および団体協議に関する改正は2026年4月に予定されており、例えば団体解雇協議規則違反に対する最高保護裁定額が従業員1人あたり90日分から180日分へ倍増される。

また4月には、法定労働組合認定制度の改革が予定されており、これにより職場における労働組合の法定認定取得が全体的に容易になる見込みである。

労働争議に関する電子投票は2026年4月に導入予定であり、政府は協議文書と実務規範案を公表済みである。

最後に、労働組合代表者及び組合員に対する新たな保護措置が10月に導入される見込み(下記参照)であり、政府は事前に協議を行うことを約束している。協議はまだ始まっていないが、近く開始される見通しである。


家族関連の権利

家族に関する権利についても変更が予定されている。2026年4月以降、父親休暇および育児休暇(ただし共有育児休暇を除く)は、現在の勤続要件が撤廃され、入社初日から取得できる権利となる。

また、父親休暇については、これまで共有育児休暇より先に取得しなければ失効していたが、今後は共有育児休暇取得後でも取得可能となる。


病欠

法定疾病手当(SSP)は、疾病発生初日から、かつ疾病発生後最初の3日間の対象期間について支給される。また、所得下限額が撤廃されるため、所得額にかかわらず、要件を満たす全ての従業員が法定疾病手当の受給資格を有することになる。


内部告発

セクシャルハラスメントの告発が、適格な開示として認められる事項の一覧に追加される。これにより、他の法定要件(例えば、公益に資すると個人が合理的に信じていたなど)も満たす場合、保護対象となる内部告発に該当し得ることがより明確化される。


執行体制

新たな執行機関である公正労働機関が4月に設立されるが、完全な稼働時期は未定である。将来的には、最低賃金、雇用審判所の罰則制度、労働搾取・現代奴隷制、人材派遣業規則に関する既存の執行機能を一部引き継ぐ。さらに、休日手当と法定疾病手当に関する新たな執行機能も担う。同機関は新たな権限を有し、適切な休暇手当・病気手当を支払わない事業者に対してより高額な罰金を科すことが可能となる。


その他の4月改正

全国生活賃金および全国最低賃金の時間給に対する定期的な引き上げは、4月1日から適用される。

施行時期生活賃金18–2016–17歳・見習い
2025年4月(現行)£12.21£10.00£7.55
2026年4月£12.71£10.85£8.00


4月6日より、法定休暇給付の週額が引き上げられる。(対象:法定疾病手当金、出産手当金、養子縁組手当金、父親休暇手当金、共有育児休暇手当金、新生児休暇手当金、親の死亡に伴う休暇手当金)。家族関連休暇の給付額は週187.18ポンドから194.32ポンドに、法定疾病手当金は週118.75ポンドから123.25ポンドにそれぞれ増額される。

雇用権利法 ― 2026年10月施行分

解雇と再雇用

修正された条件で再雇用するために一度解雇するという手法について、今後さらに制限が加えられ、雇用主がこの方法を用いて労働条件を変更することは大幅に困難になる。

また、賃金、労働時間、年金、シフトの時間や長さ、休暇などの条件(および規則で定義されるその他の条件)について、従業員が変更に同意しないことを理由とする解雇は、自動的に不当解雇と見なされる。

解雇が自動的に不当となる理由には以下が含まれる:

  • 雇用主が、上記の変更を含む柔軟性条項を強制的に導入しようとする場合
  • 雇用主が、同一職務を異なる条件で他の人に担わせる意図がある場合
  • 雇用主が、従業員を派遣労働者やその他の非雇用労働者に置き換えようとする場合

なお、既存の解雇・再雇用に関する実務規範は更新され、上記以外の雇用条件については引き続き適用される。


ハラスメント

雇用主は、第三者によるハラスメント(セクシャルハラスメントに限らず、あらゆる種類のハラスメントを含む)について、これを防止するためにあらゆる合理的な措置を講じていない限り、責任を負うことになる。

セクシャルハラスメントを防止するための合理的な措置を講じるという現行の義務も、「あらゆる」合理的な措置を講じることを求めるよう拡大される。


雇用審判所への申立て

本法は議会審議過程で改正され、雇用審判所への申立て期限が3ヶ月から6ヶ月に延長された。

早期調停期間は2025年12月1日付で6週間から12週間に延長されたが、10月に再度見直しが行われ、12週間が適切かどうかが判断される予定である。

雇用審判所の未処理申立件数は現在50万件を超えている。雇用紛争解決に関する大規模な見直し報告書は2026年に公表予定であり、政府が抜本的な改革を検討し始めることが予想される。


不当解雇-資格期間と補償上限

厳密には2026年以降となるが、不当解雇の資格期間が6ヶ月に短縮されるのは2027年1月1日の予定である。この変更は、同日時点で6ヶ月以上の勤続期間を有する全従業員に適用される。
また、不当解雇に対する補償金の上限撤廃も同日に実施される可能性がある。(現時点では不明確)

雇用主は、この大きな変更に備えて2026年中に以下のような対応を取ることがほぼ確実と考えられる。

  • 試用期間の短縮
  • パフォーマンス管理の改善および研修の実施
  • 上限撤廃前に高額報酬の従業員の計画的な退職手続き

結論

雇用権利法の成立により、2026年にはさらに多くの提案が検討対象となるが、それは重要な詳細の多くが、今後策定される実施規則に委ねられているためである。ビジネス・貿易担当大臣のピーター・カイル氏によれば、この法律に関して26件の個別協議が予定されている。

今年は、人事部門、社内雇用弁護士、そして雇用主にとって、変更への対応に追われる非常に忙しい一年になるだろう。さらに、政府のロードマップによれば、2027年も同様に厳しい年になる可能性がある。

もし対応に不安がある場合は、当法律事務所の「雇用権利法における変更点ダッシュボード」や「施行時期の予測タイムライン」をぜひご覧ください。

特定のケースにおいて具体的なアドバイスが必要な場合は、Lewis Silkin LLP法律事務所の  Abi Frederick弁護士Abi.Frederick@lewissilkin.com まで、ご連絡をお願いいたします。


画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: イギリスの人事部_logo-powered-by-1.png

「イギリスの人事部」ニューレターのお申込みはこちらから

センターピープル(Centre People Appointments)では、雇用法、人事、労働市場、ビザ等の最新情報を 「イギリスの人事部」 のニュースレターにて日系企業様向けに無料で定期配信しています。

ご要望、ご質問、今後取り上げて欲しいテーマ等ございましたら、ご遠慮なく下記E-mailアドレスまでご連絡くださいますようお願いいたします。
Email: reception@centrepeople.com


【バックナンバー】

NOV 2025 – 「AIで作成された不満申立て」が現実のものに。英国雇用主はどう対応すべきか?

OCT 2025 – 雇用権利法案:我々がまだ知らないこととは?

SEP 2025 – 無給インターンシップの禁止は効果をもたらすか?

AUG 2025 – 雇用権利法案はいつ施行されるのか?

JUL 2025 – 職場における医療用大麻:雇用主にとって増大する課題か?

JUN 2025 – 英国政府、純移民数削減を目指す移民制度改革白書を発表

MAY 2025 – 男女別施設に関する平等監視委員会の最新情報

APR 2025 – 雇用権利法案を読み解く:公正労働機関の創設

MAR 2025 – ソーシャルメディア投稿を理由とする従業員の解雇は違法な差別

FEB 2025 – トランプ大統領のDEI命令:英国の雇用主にとって何を意味するのか?

JAN 2025 – AIを活用した転職市場:ツール、メリットと課題


【イギリス・ヨーロッパでのご採用をご検討中の企業様へ】

★採用でお困りなことはありませんか?

センターピープルでは、イギリス・ヨーロッパでの人材採用のお手伝いをしています。
人材のご紹介は、正社員はもちろん、派遣・契約社員や、1日からの短期スタッフ、パートタイム従業員等、幅広く対応が可能です。
いつでもお気軽にお問い合わせをお願いします。

Phone: +44 (0)20 7929 5551
Email: japan@centrepeople.com


画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: USAjinji-bu.jpg

センターピープルのグループ会社であるQUICK USA,Inc.は「アメリカの人事部」のニュースレターを米国でビジネスを遂行していくために、必ず知っておかなければならない法律、人事・労務、ビザなどの最新ニュースを在米日系企業様向けに定期的にお届けしております。

ニュースレターをご希望の方はお手数ですが、会社名、ご担当者様氏名、役職、電話番号、ご住所、メールアドレスを明記の上、下記E-mailアドレスまでご連絡くださいますようお願いいたします。

E-mail: info-usjinjibu@919usa.com


クイックグループでは世界の人事部として、世界で活躍する日本のグローバル企業の人材採用サポートを行っております。メキシコ拠点のQUICK GLABAL MEXICOでも「メキシコの人事部」で人材採用から人事・労務に関しての課題解決のための有益な情報を、メキシコの労務、法務、税務等の専門家にご協力いただき、皆様にお届けしております。

「メキシコの人事部」の申し込みはこちらから