Jul 2015 – TUPE:事業譲渡(雇用保護)規則 & サービス提供者の変更

TUPEはあるビジネスが別な会社に事業譲渡がなされるときに、そこで働いていた従業員の保護を目的とした法律である。TUPEはこの事業譲渡で影響を受ける従業員が大枠で何が起きているかの情報の共有と協議をするを可能にして、具体的には、従業員が解雇されたり雇用条件の悪化が起きないようにするものである。
TUPE 2006―3(1)(b)の法令は、サービスの提供の譲渡と呼ばれることに適用される。これは、ある事業主が自らの事業活動をの継続を止め、其の事業の請負人が其の事業活動を継続し、その事業活動はこの事業の請負人また下請負人によってなされる、または事業活動が最初の事業者に引き戻される場合をさす。

最近のJinks v London Borough of Havering UKEAT/0157/14のケースを上記に適用してにみてみると、ロンドンのハーバリング区は区の所有するある区画の管理を
Saturn Leisure Ltd に管理委託契約をした。この時点でSaturn Leisure Ltd はこのサイト管理の一部をRegal Car Parks Ltd に請負委託をした。その後、2013年に、バーバリング区はこのサイトの管理を全て区の管轄に引き戻した。

Mr Jinks, はSaturn Leisure Ltd の従業員で、彼は、彼の雇用はTUPE の法令に基づいて区が当該サイトの管理の全てを区に戻したときに区に移転したと申し立てた。
彼の訴えは、雇用審判所の予備的な聴聞で却下された。その理由として雇用審判所の審判官は、Regal Car Park Ltd のお客様はTUPEではSaturn Leisure Ltd であると判定し、区ではないと判断した。しかしながら、雇用上訴審判所はMr Jinksの申し立てを認め、区が雇用主としての地位を承継したと判断した。

上記の雇用上訴審判所は、Horizon Securities Ltd v Ndeze and anotherの判例に基づいて上記のケースを判断した。これは複数の異なった顧客のために、複数の異なった請負人による関連する事業活動がサービス提供の変更前、そしてその後に行われることがあったとしても、サービス提供の変更は生じていなかったということを確認した判例である。

しかしながらHorizon Securities Ltd のケースは、誰がTUPEの言うところの顧客であるかを特定するのは法令であるというよりも、事実関係であるとして、 誰が顧客であるかをどのようにして考えるべきであるかを明らかした判例である。顧客は単数ではなく、複数であり得る可能性を示唆している。この判例で明らかにされたことは、サービスを受けている当事者は、請負業者でもあり得るし、さらにその下請け業者でもあり得るとしている。

このケースでは、この領域での施行されている法律のルールを再確認したものであるが、その事業活動が、請負業者からさらに下請けに出されたとしても、元の事業者は【このケースではLondon Borough of Havering】はTUPEの法律に従う必要があると考えられた。

雇用者は、以上のことから、下請業者の従業員を直接雇用していないにも関わらず、下請けに出したサービスを社内に戻すときにはTUPEという法律に従う必要があるということを良く知っておくべきである。

本件についてのお問い合わせはフィリップ.ロス法律事務所の弁護士 中田浩一郎Koichiro.nakada@philipross.com または、中田陽子yoko.nakada@philipross.com までご連絡ください。