Jun 2015 – 嫌がらせに関する法律と判例の新しい展開

最近の発表されたHabinteg Housing Association Ltd v Holleron [2015]のケースをご紹介したい。
Helleron氏はHabinteg Housing Associationの社員であった。彼の性的指向に関して嫌がらせを受けたとして雇用審判所に申し立てをした事件である。このクレームは、クレームを提出する期限を12日間オーバーしていた。このケースは、雇用審判所で伝聞証拠の価値とその信憑性も問われることになった。雇用審判所はこの件に関する会話がなされたという (この会話には本人は関与していなかったが、) 風聞を信ずるに足るとて、この会話に関わった人達の中の一人から出された証拠を無視を出来ないとした。

このケースについてHabinteg Housing Association の調査員によって一人の賃借人がインタビューされ、このインタビューの後、この賃借人はHolleron氏にこの調査員がHolleron氏のことをホモセクシャルであると言っていたと伝えた、こう伝えることで賃借人から有利な証言を獲得しようと試みた。

雇用審判所はこの事実を考慮し そしてこのクレームを認めることはこの種のクレームのタイムリミットを越えていたにも関わらず公正だとした、その背景はHolleron氏はこの会話が存在したことを7週間も知らなかったからであった。雇用審判所はこの調査員によって出された直接的な証拠、差別的発言は無かったということの証拠を無視しながら風聞に依拠した主張と証拠を採用した。しかしながら雇用上訴審判所は雇用審判所の判断を覆した。

現在あるEquality Act 2010 section 26(1)によれば、「嫌がらせ」(Harassment)とは、ある人が他の人に対して、その人が不快と思われるような事柄で、個人に関して不可侵な領域、例えば年齢、身体障害、人種、性、性的指向 そしてこれらの事柄が他者の尊厳を傷つける目的 または当該被害者を脅したり敵視したりすることと規定している。

このケースは風聞による嫌がらせがあったということに基づく最初のケースである。申し立て人は第三者により申し立てられた嫌がらせの言葉を直接それを言ったという本人から聴いておらず、申し立て人は第三者からの伝聞に基づいて雇用審判所に申し立てをした。

雇用上訴審判所の審判官はこのこと自体は嫌がらせという法的な部分を構成するかも知れないことは認めた。

このケースはこの種の申立人に対する一般的な注意を喚起しており、申し立てのタイムリミットを越える場合には、明確な理由を提出しなければならない(目撃者または書類に拠る証拠を必要としている)。申し立て人が、第三者による嫌がらせがあったことを知ったのがタイムリミットの約7週間後であった事だけではこのタイムリミットを延長する理由にはならないとした。この申し立て人はなぜ時間が必要だあったかを示す証拠と、其の根拠を構築するものを提出するべきであった。

雇用者は、直接的な嫌がらせ行為に関与したという事実が無かったとしても、被雇用者の様々な行為に対して責任を負うことがある。雇用者は、いじめとか嫌がらせの防止に責任があることをを肝に銘じ、それ故、必要なポリシーを作成して導入し、このようなことの起こることがないよう防止する必要がある。

この記事に関するご質問は、フィリップ・ロス法律事務所の弁護士の中田浩一郎、(Koichiro.nakada@philipross.com)、または中田陽子(yoko.nakada@philipross.com)までお願いいたします。