第2回:一年半を振り返って

飯塚 もうすぐ初夏、ここにきて天候も 良くなり原田さんも外出されることでお 気持ちが晴れ晴れする日々が多くなって きたのではないかと思います。本日はこ れまでの道のりについてお話をお聞きします。前回、救急 車で病院に搬送される前日にGPに行かれたとお話しいた だきましたが。

原田さん 前日、突然右目が見えなくなり、言葉も思うよ うに出なくなりました。症状は一旦落ち着いたのですが、 大事を取ってGPに行き、着いたときには症状が治まって いたので、様子を見るということで帰って来ました。

飯塚 症状が落ち着いていたという、喜ぶべき状況が――。

原田さん 誰にでも、「今日はちょっと体調が良くない」と いうことがありますよね。疲労から来るものも含め、何か 少しおかしいなと思ったとしても、そう深刻には考えない ものだと思います。でも今から思えば、当時、時々手に力 が入らなくなることがありました。振り返ってみると、あ れが前兆だったような気がしますね。

飯塚 救急患者ということで入院され、その後、回復する に従い、ほかの病院へ転院されたとお聞きしました。病院 での生活全般についてお話しいただけますか。

原田さん 入院は結局7カ月に及びましたが、その間2回 転院し、合計3軒の病院で治療を受けました。最初は、救 急車で運ばれた病院の緊急病棟。通常は、数日から1週間 程度で症状に合わせた病院へ移ると聞いています。私は1 週間で2軒目の病院へ移りました。普通そこでは検査や治 療をしながらリハビリを行い、検査結果が落ち着いた後、 リハビリ専門病院への転院となるようです。正直なところ、 最初と2軒目の病院のことは断片的にしか覚えていません。 ただ私の場合、後遺症は深刻だったものの、元々健康であっ たこともあり、かなり早い段階でリハビリ病院への転院が 決まりました。状況によってはかなり長く待たされること もあると聞いていたので、とても嬉しかったです。

飯塚 リハビリが早い段階で始まるのは、良いニュースと いうことなのですね。

原田さん 脳梗塞のリハビリはとにかく早くスタートする のが良いそうです。私も、既に救急病棟にいるときからセ ラピストによるリハビリが始まっていました。ただし2軒目 の病院では、まだ椅子に数時間座っているのも辛い状態で した。ですので、リハビリ病院へ移ったら、そこでは本格 的にリハビリに取り組もうと、大きな期待をしていました。 ところが転院予定日を目前に、同室患者のノロウイルスに 感染し、リハビリ病院への転院が延び延びになるというハ プニングに見舞われました。

飯塚 早く回復したいというお気持ちがあったのに、どれ くらい転院が延びるか分からないのはお辛かったでしょう。

原田さん 全くその通りで、次のステップへの足止めを食 らったのが精神的にとてもしんどかったです。転院予定は 結局1カ月も延びてしまいましたが、感染といっても一般的 に言われるひどいノロウイルスの症状は出ず、あまり体力 が落ちなかったのは不幸中の幸いだったかもしれません。

飯塚 それをお聞きしてほっとしました。

原田さん NHSの悪い噂はよく聞きますが、一度治療が 軌道に乗ってしまえば、とても手厚い対応をしてくれると 感じました。できる限り自立支援に向けてサポートしてく れます。仲間内でも同意見の人が多かったです。 ※ 原田さんは回復途中で言葉を話すことがまだ自由ではありませんので、 対談中は美弥子さん、智美さんにお手伝いいただいています。

※ 原田さんは回復途中で言葉を話すことがまだ自由ではありませんので、 対談中は美弥子さん、智美さんにお手伝いいただいています。

ご友人からのお見舞いの短歌

リハビリに たゆまず励むと 伝へ聞く 君の姿を 今日も思へり (歌人 渡辺幸一さん)

本コラムの過去記事は、下記アドレスでご参照いただけます www.centrepeople.com/japanese/article

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