Apr 2022 – 新規就労ビザカテゴリー「グローバル・ビジネス・モビリティ・ルート」

2022年3月15日、ホームオフィスは「移民規則の変更に関する声明」を発表した。これには、国際的なグループ内での知識移動の促進、英国での事業の開設やその拡大、または海外のより大きなプールから豊富なスキルを持つ人材へのアクセスを求める企業にとって役立つと予想される数多くの改革が含まれている。

2022年4月11日午前9時より、5つのグローバル・ビジネス・モビリティ・ルート(GBMルート)が導入された。これらは、既存のルートを再パッケージをして改変したものである。

既存の企業間異動者に対するいくつかの経過措置は別として、GBMルートの移民に副業は許可されていない。この政策論理は、国際ビジネスに関連する労働者は、英国に呼び寄せられた本来の目的である任務のみに集中すべきであるということのようである。


1. Senior or Specialist Workerビザ

GBMルートの中のSenior or Specialist Worker(SSW)ビザは、企業間異動者ルート(ICT)の改変・代替となるものである。国際的なグループ企業の上級管理職や専門職が、グループ内の英国企業へ転勤する際に利用することを想定している。

GMBルートは、最低スキルレベルが国家資格フレームワーク(RQF)のレベル6(大学卒レベル相当)であること、英語力の要件がないことなど、多くの要件をICTビザから引き継ぐものである。SSWビザは、申請時にスポンサーグループで働いており、且つ、高収入でない限りは少なくとも12ヶ月間グループ企業内(イギリス国外)で働いていたということが必要である。

SSWビザのスキルレベルや定住資格へのハードルはICTルートと同じということもあり、グローバル企業がGBMルートのライセンスだけでなく、Skilled Workerとしてスポンサーライセンスを申請保有する傾向は今後も続くと予想される。これにより職業技能レベルがRQFレベル3~5の従業員や、英国への定住を希望する従業員の転勤が可能になる。また、Skilled Workerのスポンサーライセンスを保有することで、GBMルートの要件を満たさない欧州経済領域(EEA)/スイス国民の採用ができる可能性も出てくる。


2. Graduate Traineeビザ

新しいGraduate Traineeのビザの規定は、国際企業における上級管理職、又は専門職を目指す卒業生研修コースの一環として英国で就労するための企業内転勤Graduate Traineeルートを改革・代替するものである。


3. UK Expansion Workerビザ

UK Expansion Workerビザは、単独代表者のための事業開設のための代表者ビザの規定を置き換え、あるいは拡張したものである。既に単独代表者として入国許可を受けている人は、この資格で延長して定住することが出来、海外メディア代表者の規定も引き続き適用される。

UK Expansion Workersビザの新ルールは、英国に取引拠点を持たない海外企業の主要な上級管理職や専門職のチームに、英国支店や100%子会社の設立段階での人員配置を可能にするが、現在の規定では上級管理職1名の転勤しか認められていない。

実際、このルートで渡英し、最終的に英国への定住を目指す人は、できる限り早くSkilled Workerのスポンサーライセンスを取得し、Skilled Workerルートへの切り替えを希望することが多いようである。これは、Expansion Workerビザで滞在した期間は、Skilled Workerを含む他のイミグレーションのカテゴリーにおいて定住権取得のための資格期間としてカウントすることができないためである。


4. Service Supplierビザ

このルートは、英国が加盟している国際貿易協定の一つに基づいて、サービスを提供するために英国に来るサービス供給者のためのTemporary Work – International Agreementビザを改変したものである。


5. Secondment Worker ビザ

Secondment Worker ビザは、海外の雇用主による「高価値の雇用または人材への投資」の一部として英国に出向している個人を対象としている。

業務取引に関わる英国企業がスポンサーとなり、関連性のある契約書をホームオフィスに登録する必要がある。その段階でホームオフィスが契約書の価値を評価することになる。

移民諮問委員会(MAC)がGBMルートは定住につながるべきであると提言したものの、ホームオフィスはこれを拒否している。GBM移民は6年間の滞在中に5年までしかビザを許可されないが、高収入の上級管理職や専門職(SSWビザ)は例外で、10年間の滞在で最大9年まで許可される。



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