
Aug 2026 – 不法就労の防止と就労資格の確認:2026年10月1日からの変更点

不法就労防止に関する改訂版実務規範の草案が公表され、2026年10月1日に施行される予定である。この改訂案は、特に複雑な労働供給チェーン、下請け業者、人材派遣契約を利用している組織において、企業が労働者1人あたり最大60,000ポンドの不法就労に関する民事罰金を科されるリスクを大幅に高める新たな法規制を反映したものである。また、オンラインの求人マッチングプラットフォームも対象となる。企業は施行日までにコンプライアンスを確保できるよう、今から準備と運用変更に着手すべきである。
企業は今、どのような対応を取るべきか?
変更は2026年10月1日に発効する。特に複雑な労働供給チェーンを有する企業や、従業員以外の就労者を多数利用する企業は、今から準備を開始すべきであり、以下の対応をお勧めする。
- 事業で利用されているあらゆる種類の労働形態を把握する
- 2026年10月1日以降に規制対象となり得る契約形態を特定し、高ボリュームまたは高リスク分野を優先的に検討する
- 就労資格に関するポリシー、入社手続き、再確認プロセス、および書類の保存プロセスを見直し、草案規範の要件に適合させる
- 人材派遣派遣会社、下請事業者、およびサービス提供業者との契約を見直し、必要に応じて改訂する
- 就労資格確認サービスプロバイダー(DVSP: Digital Verification Service Provider)の登録状況を確認し、既存または利用予定のDVSPが、関連するOFDIA登録簿に登録されており、就労資格確認サービスを提供できる旨の記載があることを確認する
- 拡大責任が適用される場合における本人確認の選択肢を評価する
- 関係部署への研修を実施する。人事、調達、契約管理、業務運営部門、およびラインマネジャーは、いずれも新たな要件を理解する必要がある
- 証拠資料一式の整備を行う。ホームオフィス(英国内務省)から情報提供を求められた際に、迅速にコンプライアンスを証明できる体制を構築する。本規範では、法定の免責事由を主張しようとする者は、講じた措置に関する十分な証拠を保持し、要請に応じてコンプライアンスの証拠を提出しなければならないことが強調されている
- 専門家の助言を速やかに求める。特に、複雑なサプライチェーン、オンラインマッチングサービス、代替要員が認められている契約、および/または現行の就労資格確認手続に周知の弱点がある場合は重要である

本規範における主な新定義
本規範では、就労権制度の目的上、いくつかの新しい定義が導入される。
「雇用主」とは、前述の通り、雇用契約(サービス契約または見習い契約)、労働者契約に基づき、あるいは個人下請け業者として、または潜在的なクライアントや顧客に個々のサービス提供者の詳細情報を提供するオンラインマッチングサービスとして事業を行う場合に、個人を雇用する者を指す。規範における「雇用」への言及は、これらすべての就労形態が含まれ、「契約」には、口頭・書面を問わず、黙示的な契約が含まれる。
「個人下請業者」とは、ある「者」と、業務またはサービスの提供に関する契約を締結した個人をいう。ただし、その契約において、相手方が第三者との間で当該業務またはサービスの提供、もしくはその提供の手配に関する契約を締結しているのに対し、当該個人はそのような契約を締結していない場合に限る。
この定義は、企業が実務上で適用する際に複雑になる可能性があり(特に、個人の業務やサービスが第三者との契約を履行する目的で提供されているかどうかの判断において)、コンプライアンス上、新たな重大なリスク領域となる恐れがあると予想される。
「オンラインマッチングサービス」とは、事業の一環として「サービス提供者」の登録簿を管理し、オンラインサービスを通じてそれらを潜在的な顧客とマッチングさせ、マッチングが成立した際に手数料またはコミッションを徴収する「者」をいう。
「者」とは、会社、組織、事業体、またはその他の団体をいう。本規範に明示的に記載されている場合を除き、個々の労働者を指すものではない。
「サービス提供者」とは、オンラインマッチングサービスの文脈において、対価を得て仕事やサービスを提供する、または提供しようとする「者」をいう。
「代替」とは、労働者が自身の業務または役務を他の個人に代行させることが認められる場合を指し、これには、同一の業務または役務を遂行するために、労働者を他の個人に置き換えることを認める契約条項による場合も含まれる。
実際には、雇用された個人が自営業者であり、当該契約が役務提供契約である場合には、代替権が発生することになる。
「労働者」または「個人」とは、「雇用契約(従業員)」、「労働者契約」、「個人下請契約」または「その他オンラインマッチングサービス」を通じた業務提供の仕組みに基づき、業務の遂行又はサービスの提供を行う個人をいう。
「労働者契約」とは、個人が(契約書にその者が明記されているか否かを問わず)他者のために自ら労働またはサービスを行うことを引き受ける、従業員以外の契約をいい、かつ、その者が当該個人が営む専門職または事業活動の取引先または顧客ではない場合を指す。

直接契約関係がない場合における法定免責の仕組み
雇用主が不法就労に関する民事制裁金の責任を負う可能性がある場合、「所定の要件」を満たすことで、法定免責により責任を回避できる。
現在、これは一般的に、雇用開始前に手動、オンライン、またはデジタル検証サービス(DVS)による就労資格確認を完了し、その証明を行うこと、および有効期限付きの法定免責が失効する前に、事後的な就労資格確認を完了し、その証明を行うことを意味する。
本規範第3章は、2026年10月1日以降に、間接的な契約関係にある「雇用主」に対して生じる拡大された責任について定めている。具体的には、英国での就労資格を持たない個人が、以下の状況において自ら労働またはサービスを提供する場合を指す:
- ある「者」が第三者に対して業務またはサービスを提供する契約を締結しており、その個人が、当該第三者との契約を履行するために必要な業務またはサービスの一部または全部を遂行させる目的で、別の雇用主と契約を締結している場合;または
- ある「者」がオンラインマッチングサービスを運営しており、オンラインプラットフォームのユーザーが登録サービス提供者に業務の遂行を依頼する場合;または
- ある「者」が、代替権を含む契約に基づき個人を雇用する場合
こうした各状況において、その「者」は、自らと当該個人との間に存在する契約の連鎖がいかに長いものであっても、その業務やサービスを直接提供する個人を雇用しているものとみなされる場合がある。
ただし、同法では、自身の利益のために業務やサービスを委託または購入するサービスのエンドユーザー・クライアント・顧客(かつ、それらのサービスを第三者に再提供する契約を結んでいない者)は、拡大責任規定の適用対象外であることが明確にされている。
ホームオフィスは、今後も個々の労働者と直接的な契約関係にある雇用主を特定することを目標とし続けると述べている。ただし、直接の「雇用主」を特定できない場合、または契約の連鎖における別の「者」が、後述する「所定の要件」(すなわち、契約条件、代替労働者の管理、本人確認)を遵守していることを示す十分な証拠を提示できない場合、その「者」は不法就労に関する民事罰則の対象となる可能性がある。
さらにホームオフィスは、契約関係の連鎖に存在する各関係者に責任を課すか否かを判断するに当たり、「契約上の取決めの性質及び各当事者が所定の要件をどの程度遵守しているかを考慮する」としている。これは実際には、直接の雇用主が特定できる場合であっても、また、関係する契約が不法就労者の従事する契約から複数段階隔たっている場合であっても、関係者は所定の要件を満たすことについて油断してはならないことを意味する。
(※本記事は、英語原文を日本語に翻訳したものです。)
特定のケースにおいて具体的なアドバイスが必要な場合は、Lewis Silkin LLP法律事務所の Li Xiang弁護士 Li.Xiang@lewissilkin.com までお気軽にお問い合わせください。


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