Oct 2026 – フレキシブルワーキング制度:企業に求められる対応水準が上昇

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英国政府は、フレキシブルワーキング(柔軟な働き方)への利用促進に関する協議(コンサルテーション)への回答を公表し、雇用主が従業員からの申請を却下する場合に従うべき新たな法定手続を導入することを明らかにした。これらの変更は、2027年秋に施行される予定である。


こちらで詳しく解説したように、Employment Rights Act 2025(雇用権法2025) により導入されたフレキシブルワーキングの枠組みにおける主な変更点は以下の通り。

  • 雇用主は、合理的な理由がある場合にのみ申請を却下できること
  • 申請を却下する際には、その理由と、なぜ却下が合理的であると考えるのかを説明しなければならないこと
  • フレキシブルワーキングの申請を却下する前に、雇用主が取るべき手続を規則で定める権限が設けられること

政府は今年初め、フレキシブルワーキングの申請を却下する前に雇用主が踏むべき手続について意見募集を実施した。1,016件の回答を受け、今回その結果が公表された。

今後、フレキシブルワーキングの申請を却下する可能性がある場合、雇用主は新たな法定手続に従うことが義務付けられる。この制度は、新たに導入される「合理性基準」と合わせて2027年秋に施行される予定である。


新しい手続きはどのようになるだろうか?

協議の結果、雇用主と従業員が話し合いの中で目指すべき目的は、最終的に次のように整理された。

雇用主は、フレキシブルワーキングの申請を却下する前に以下の目的で面談を実施しなければならない。

  1. 従業員が希望する働き方の実現可能性を検討し、可能な範囲で課題への対応策を検討すること
  2. 希望する働き方の実現が難しい場合には、代替となり得る勤務形態を検討すること

また、その面談は従業員との合意形成を目指して実施される必要がある。

新たな法定手続きの下では、雇用主は以下を実施しなければならない。

  • 申請を却下する可能性がある場合、当該従業員との面談を実施すること(なお、面談は申請に対する回答期限である2か月以内に行う必要がある)
  • 面談に先立ち、「公正かつ妥当な」通知を行うこと
  • 面談の目的を事前に従業員へ伝えること
  • 面談結果および最終決定を書面で通知すること(面談内容の要約を含むが、詳細な議事録までは求められない)

採用されなかった案とは?

協議では、新たな法定手続きに関するさまざまな案が検討されたが、その中には雇用主にとって少々頭を悩ませるものもあったかもしれない。

おそらく特に議論を呼んだのは、意思決定者が従業員との面談に出席することを義務付ける案であった。

政府は、すべての面談に人事部長や経営幹部が参加することは「限られた時間やリソースの観点から過度な負担となる」という意見を受け、この案を見送った。代わりに、面談を「合意形成を目指して実施する」という目的を明確にすることで、形式的ではない実質的な対話を促す方針を採用している。

また、従業員に対して、フレキシブルワーキングの申請をEquality Act 2010(平等法2010) における合理的配慮申請としても扱うことを希望するか確認する案も検討されたが、政府は「異なる法分野を混同させるおそれがある」として、この提案を撤回した。

さらに、面談の中で試行期間の設定について協議することを義務付ける案については一定の支持があったものの、法的義務にはしないことが確認された。

また、意見募集への回答では、労働組合員やその他の同伴者を会議に同席させる法的権利を認めるよう求める声があったことも指摘された。これは、Acasの「フレキシブルワーキングの申請に関する実務指針」に定められている通り、依然として望ましい慣行ではあるが、政府はこれを規則で規定すべきではないとの見解を示した。

同様に、フレキシブルワーキングの決定に対して不服申し立てを行う法的権利を再び導入すべきだという声も上がったが、ここでも、Acasの実務指針では不服申し立ての権利が推奨されているものの、政府はこれを法的要件の一部とすべきではないとの見解を示した。


「合理性テスト」はどうなるのか?

今回の協議では、「合理性テスト」そのものは検討対象ではなかった。

以前にも述べたとおり、この合理性テストは「従来の雇用法上のテストとは異なる法的な位置付け」を持っており、雇用審判所が企業判断の合理性をどのように評価するのかについては不透明な部分が残されている。

今回公表された政府回答でも、この点について明確な答えは示されていない。しかしAcasは、合理性基準に関する詳細なガイダンスを今年後半に公表することを約束しており、改訂版の実務指針(Code of Practice)でもこのテーマが取り上げられる予定である。


今後の対応

今回の回答では、Acasがフレキシブルワーキングに関する実務指針の改訂案を作成し、施行前にパブリックコンサルテーションを実施する予定であることも確認された。また政府は、必要に応じて追加のガイダンスや情報提供についても検討するとしている。

制度改正は2027年秋に予定されているため、企業には準備期間があるものの、具体的な対応を進める前に今後公表されるガイダンスを確認することが賢明だろう。

義務付けられた協議手続きと新たな「合理性基準」の組み合わせにより、企業に求められる対応水準は確実に高くなる。今後は、法令上認められた事業上の理由を示すだけでは不十分となる可能性が高い。企業は、その理由に基づいて申請を却下することが合理的であったこと、さらに代替案についても真摯に検討したことを説明できなければならない。十分な検討を行わずに却下したケースや、明確な理由付けがないまま却下したケースについては、これまで以上にその判断を正当化することが難しくなると考えられる。

(※本記事は、英語原文を日本語に翻訳したものです。)


特定のケースにおいて具体的なアドバイスが必要な場合は、Lewis Silkin LLP法律事務所の  Abi Frederick弁護士Abi.Frederick@lewissilkin.com まで、ご連絡をお願いいたします。

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