Sep 2022 – 安全衛生庁が雇用主に対し温暖化する将来に備える必要があると言及

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安全衛生庁は企業に対し、今後の更なる厳しい暑さに備えて職場環境を整えるために今すぐ行動を起こすよう助言している。雇用主は何をすべきか、またリモート勤務者にはどのような影響を与えるか?

最近のプレスリリースでは、安全衛生庁は企業に対して温暖化する労働環境にどのように適応する必要があるかを考え、長期計画の一環として猛暑を考慮するように促している。


法的見解:暑すぎて仕事にならない?

英国では職場の最高気温が定められていないため、公式に「暑すぎて働けない」となる具体的な温度はない。 世界的に見てもその見解は異なっている。

しかし、1992年に制定された「職場(健康、安全、福祉)規則」では、雇用主は就業時間中に職場で「適度な」温度を提供することが義務付けられている。また、すべての雇用主は、仕事中の従業員の健康に対するリスクを適切かつ十分に評価し、そのリスクを最小限に抑えるために合理的に実行可能なすべての措置を講じる法的義務を負っている。

これには猛暑など、より頻繁に起こる異常気象によるリスクも含まれる。

安全衛生庁は、雇用主が最近の気象現象をきっかけに職場における高温のリスクをより詳細に調べるよう期待している、と述べている。雇用主は実施中の対策を見直し、必要であれば更新する必要がある。

「このところ目の当たりにしてきた猛暑は無くなることはないので、雇用主は今すぐ計画を立て対応して欲しい。」と安全衛生庁は述べている。


猛暑に対して、雇用主はどのようなリスク管理をすべきなのか?

安全衛生庁のガイダンスでは、雇用主が暑さによる不快感のリスクを管理するための様々な方法を提案している。

  • 扇風機の設置
  • 直射日光の当たらない場所にワークステーションを設置
  • 冷水ディスペンサーの設置
  • フォーマルなドレスコードの緩和
  • フレキシブルな勤務形態の導入
  • 空調設備

雇用主は妊娠中の従業員や特に脆弱となる既往症を持つ従業員に特別の注意を払う必要があるであろう。

暑い天候の影響が適切に管理されないと従業員の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、屋外での作業を要する従業員に対する特別なガイダンスがある。


猛暑の中でのリモートワークはどうか?

パンデミック以降、在宅勤務者が大幅に増加したことを考えると、安全衛生庁のガイダンスがこの問題を特に取り上げていないのは残念である。

職場での適度な温度を保つことを求める規則は、自宅オフィスには適用されない。しかしリスクを評価し管理する一般的な法的義務は、在宅勤務者にも同様に適用される。したがって、雇用主は将来の猛暑のリスクを評価し適切な管理策を講じる際に、在宅勤務者を含める必要がある。特に、オフィスの空調を主な管理手段としている場合は、在宅勤務者は同様の温熱快適性管理手段を利用できる可能性が低いため、在宅勤務者を見落とさないことが重要となる。

その他の管理方法としては、猛暑時に在宅勤務をしている従業員に連絡を取り、適切な換気や温度調節ができる部屋があるか確認したり、従業員が別のスペースや涼む方法を見つけられるよう休憩時間を増やしたり、水分補給の重要性や不使用時は熱を発する電子機器の電源をを切るなど、暑い状況での管理に関する実践的なガイダンスを提供する、などが考えられる。懸念に満足に対処できない場合、雇用主は従業員に一時的に自宅ではなく企業の施設で働くよう求めたり、気温のピークに合わせて働く日を変えたりすることも検討する必要があるであろう。(もちろん、猛暑の中での移動には別の課題があるかもしれないが。)

海外からのリモートワークの場合はどうだろうか。極端な温度での業務に関する規則を含め、現地の安全衛生法が適用されるでろう。


結論

英国が他の国にならって最高気温に関する具体的な法律を採用するよう求める声が高まる可能性はあるが、今のところ、雇用主は安全衛生庁の助言に留意し自社のプロセスを見直す必要がある。暑さ対策は、リスクアセスメントの一環として日常的に行われるようになりそうである。


もし特定のケースにおいて、具体的なアドバイスが必要な場合はLewisSilkinLLP法律事務所のAbi Frederick Abi.Frederick@lewissilkin.comまたは中田 浩一郎koichiro.nakada@lewissilkin.comまで、ご連絡をお願い致します。


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