Feb 2023 – 戴冠式:我々皆が休暇を取れるのか?

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国王チャールズ3世陛下の戴冠式を記念して、2023年5月8日が追加のバンクホリデー(祝日)となることが発表された。しかし、法的な位置付けはそれほど単純ではなく一部の従業員にとっては追加の休日を取得する権利がない可能性がある。


政府は、2023年5月6日(土)の国王の戴冠式を記念して、2023年5月8日(月)に1日限りの追加のバンクホリデーを設けることを決定した。このバンクホリデーは、英国全土で適用されることになる。

英国中の従業員が、追加の休日をどのように過ごすかを計画するのに躍起になるだろうが、法的な立場は、それほど単純ではない。従業員が実際に追加のバンクホリデーを取得出来るかどうかは、雇用契約の文言や勤務形態によって異なる。


誰が休暇を取得できるのか?

厳密には、雇用契約書に「X日間の年次休暇+バンクホリデー(祝日)」と記載されている場合のみ、従業員は追加のバンクホリデーを取得することができる。

雇用契約書に、「バンクホリデーを含むX日間の年次休暇」、または「X日間の年次休暇に加え通常の8日間のバンクホリデー(イングランドとウェールズの場合)」と定められている場合は、今年のバンクホリデーを追加するかどうかは雇用主の裁量に委ねられることになる。


パートタイムの従業員は?

パートタイムの従業員についても同様で、休日(または代替休日)が付与され得るかどうかは契約書の文言による。

バンクホリデーが勤務日に当たっていないために、その日に通常勤務していないパートタイム従業員は、その日に通常勤務している従業員のみに与えられる追加の休日については付与されないであろう。従って、パートタイム労働者を不利に扱っているというクレームの発生リスクを回避するために、パートタイム労働者の休日取得に関しては、比例配分で反映されるよう調整すべきである。


給与についてはどうか?

シフト制の労働者など一部の従業員は、必ずしも追加の休日取得を望んではいないが、「バンクホリデーの割増賃金」が支払われることを期待しているかもしれない。この場合も、雇用主がこの賃金を支払わなければならないかどうかは、従業員の雇用契約の厳密な文言によって決まる。契約上、バンクホリデーに割増賃金を支払うことになっている場合は、追加のバンクホリデーにも該当することになる。


雇用主はどのように対応するだろうか?

雇用主がどのような対応を取るにせよ、従業員との関係を考慮することが重要となる。この状況を誤って処理し、不当な扱いを受けたと不満を持つ従業員に対処しなければならなると、風評被害を招く恐れに繋がる。

通常、バンクホリデーが休日となっている(または「バンクホリデー」の割増賃金を受け取っている)場合は、従業員は2023年5月8日にも同様のことが適用されると期待するであろう。 たとえ、契約上追加の休日を取得できる権利がないとしても、追加の休日を付与しないことは、従業員に悪い印象を与える恐れがある。

このような状況下では、一貫した対応が重要である。従って、2022年6月3日にエリザベス女王陛下のプラチナジュビリーを祝うための追加のバンクホリデーについて、企業がどのような立場を取ったかを検討の中に入れる価値がある。国を挙げての祝賀のための休日、という根本的な理由が非常に類似していることから、従業員は前回の雇用主の方針を記憶しており、今回も同じであると期待する可能性が高い。これとは対照的に、昨年の女王の葬儀の日に取られたアプローチは、間違いなく国民が葬儀自体を見ることが出来るようにするためのものだったが、一部の雇用主にとっては少し違ったものになったかもしれない。


北アイルランドでは、通常のバンクホリデーは10日あり、これらの休日は、産業分野や地域によって様々な慣行が適用されているが、今回の位置付けは先述の通りである。北アイルランドの雇用主は、戴冠式における追加のバンクホリデー付与の可否に関連して起こり得る宗教的または政治的意見による差別問題については、助言を求めることをお勧めする。


私たち、多くの企業が法律上の位置付けに関わらず特に広い意味での休日を従業員に付与するという決定を下すと予測している。英国ではスキルを持つ人材不足が続いており、雇用主は当然ながら優秀な人材を維持したいと願っている。マスコミによって「全員」のための長期休暇として広く報道されているこの追加休暇を付与しないという選択をすれば、雇用主は既存の従業員との関係を損なうリスクを負うことになる。


もし、上記の件に関連して、特定のケースについて具体的なアドバイスが必要な場合は、Lewis Silkin LLP法律事務所のAbi Frederick Abi.Frederick@lewissilkin.comまたは 中田 浩一郎koichiro.nakada@lewissilkin.comまで、ご連絡をお願いいたします。


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