JAN 2024 – 純移民数削減のための英国移民政策発表

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2023年12月4日、英国政府は、最近の高い純移民数を受け、純移民数を減少させるための「5項目からなる計画」を発表した。これには、Skilled Workerビザの一般的なハードルの引き上げ、不足職種に対する給与割引の廃止、介護労働者の扶養家族の同伴の禁止などが含まれる。

政府は、この計画が以前発表された学生の扶養家族の制限、ビザ申請料とイミグレーション・ヘルス・サーチャージ(ビザ申請時に適用される医療負担費)の引き上げに基づくものであるとし、予想される純移民の減少は、全体で年間30万人と見積もられている。

今回の発表に含まれる主な改革の概要は以下の通りであり、2024年春に施行される予定である。


項目1:介護労働者の扶養家族を含む医療・介護ビザの改革

医療・介護ビザの対象職種に介護労働者が含まれるのは、パンデミック後の一時的な措置として意図されたものである。しかし、この分野への投資不足が続いていることと、高齢化が進んでいることから、この職種は少なくとも短・中期的には引き続き含まれる可能性が高い。内務省は、昨年初めにこの職種が不足職種リストに掲載されて以来、労働者搾取の高レベルの使用と証拠を受けて、この職種を注意深く監視する予定である。

このルートについては、主に2つの発表がなされている:

  • 介護施設はCare Quality Commissionによる規制を受ける必要がある
  • 医療・介護ビザで働く介護労働者には、扶養家族の同伴が認められなくなる

第一の変更点は、スポンサー制度の悪用が確認されたことを受け、偽のケアホーム事業者が介護労働者のスポンサーになることの阻止を目的としている。

第2の変更点は、定住ルートで働く労働者の家族同伴の例外を設けるものである。これは議論を呼びそうだ。介護労働者は低賃金であるため、家族がいる場合、労働者が定住した後も家族とは別居したままとなる。これは、以下に述べる新計画の項目4として発表された引き上げ後の家族ルートの最低収入基準額を満たすことが出来そうにないからである。


項目2Skilled Workerルートの一般給与基準額の引き上げ

Skilled Workerをスポンサーするための一般給与基準額が26,200ポンドから38,700ポンドに引き上げられる。これは現在の英国のフルタイム従業員の総所得中央額である34,963ポンドを上回るものである。また、現在の基準額より50%近く引き上げられることになる。

医療・介護ビザや、全国給与水準にある職種(教師など)はこの引き上げの「対象外」となるが、現行の給与水準20,960ポンドが据え置かれるのか、引き上げられるのかはまだ明らかではない。

このように一般的な給与の水準が大幅に引き上げられることによる影響は、多くの中堅技能職(規制資格枠組のレベル3~5)の非常に上級のメンバーのみが引き続き資格を得ることになり、一部の職種は排除されてしまうということである。これは、新たな給与水準がすべての技能職の所得の中央値に該当するためである。また、建設業、小売業、接客業、食品製造業、食品加工業など、一部の熟練職種の上限を上回る可能性もある。


項目3:技能労働者不足職種の給与割引の廃止

不足職種の下でスポンサーを受ける個人に対する20%の給与割引が廃止される。この発表は、2023年10月の移民諮問委員会(MAC)による不足職種リストの見直しを受けて予想されていたことである。

MACはまた、現在より少ない職種を含む新たな移民給与リストの作成について、内務省にさらに助言するよう求められている。このリストは、一般的な給与の基準額から割り引いたものとなる。


項目4:家族申請の最低収入要件の引き上げ

この声明では、Appendix FMに基づくスポンサー・パートナーの主な最低収入要件が18,600ポンドから2024年春に29,000ポンドに引き上げられ、最終的に2025年には38,700ポンドに引き上げられることも確認されている。子供をスポンサーするための追加収入要件については、まだ明確にされていない。


項目5:卒業生ルートの見直し

内務省は、卒業生が質の高い仕事に就く道筋をより良くサポートし、「乱用を防ぐ」ために、MACに卒業ビザルート改革のための政策オプションを検討するよう委託する予定である。


首相の秋の声明における移民政策を基礎とする

この5項目からなる計画は、財務相の秋の声明で発表された移民政策に沿ったもので、純移民数を増加させる可能性の低いタイプの移民を促進することに重点を置いている。

これには以下が含まれる:

  • 企業内転勤者や法律専門家がビジターとして行える活動範囲の拡大
  • 許可を受けた有償契約ビジターの手続きの簡素化
  • 今後の貿易協定に沿った求められるビジター規則の促進
  • 若者のモビリティ・スキーム(ワーキングホリデー)の参加国・場所の拡大

貿易協定に起因するビジターの変更(これらの協定が発効された時点で反映される)を除けば、秋の声明で言及された改革は2024年1月から実施されることになっている。


もし特定のケースにおいて具体的なアドバイスが必要な場合は、Abi Frederick Abi.Frederick@lewissilkin.com (Lewis Silkin  LLP法律事務所)又は弁護士 中田浩一郎 koichiro_nakada@btinternet.com に連絡をお願い致します。


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